既に生産終了しており、絶版となっているグランドマジェスティ400。
しかも、ビッグスクーターの中でも特に不人気車なので、詳細なインプレッションは需要がないとは思いますが、
これから中古車を検討している方や気になっている方、グランドマジェスティ250を検討中の方等へ参考にしていただければと思います。
※比較対象車種
主に、TMAXとの比較になります。
●足着き性、取り回し、乗り心地など。
足着き性は、TMAXに比べて格段に良好です。(テスト者は、身長165cm弱で、足は短い方です)。
TMAXはつま先立ちでしたが、グランドマジェスティは、かかとは浮きますが、足の腹までしっかり着くので安心。
ステップ幅が狭く、若干えぐってあるので、割と足を出しやすくて着きやすいです。
サイドスタンドから起こすのも、押したり引いたり取り回しするのも、TMAXと比べると驚くほど軽く、シートに座ったままバックは楽勝です。
TMAXが225㎏、グランドマジェスティ400が219㎏(装備重量)と、車重は6㎏しか変わらないのに、このフィーリングの違いに驚きます。
グランドマジェスティは重いというインプレッションが多いですが、TMAXと比べると全然軽くて扱いやすいですよ。
ただ、押し歩き時にタンデムステップボードの張り出しが足に当たって邪魔になるのは気になります。
サスは、TMAXに比べてとても柔らかく、サスがしなやかに仕事をしているのが分かります。
突き上げも少なく、乗り心地は良い方だと思います。
ブレーキング時、フロントが大きく沈み込みます。
リアサスは硬めですが、乗り心地が悪いという程ではありません。
タンデムや荷物満載を想定して設定された硬さなのかもしれません。
バックレストに腰を付けて乗ると、サスからのショックがモロに体に伝わりやすいので、バックレストに腰を付けない方が乗り心地は良いです。
(乗り心地が硬いと言われる方は、おそらくバックレストに腰を当てて乗っているのだと思います。)
アルミフレーム採用の骨格ですが、特に強度的なものは感じませんでした。
今まで乗っていたTMAXのフレームもガッチリしていたので、フレーム強度はTMAXと同等と言った方が分かりやすいかと思います。
●エンジンのフィーリングなど
一言で言えば、思ったほど回らないエンジンです。
TMAXのパワーが恋しくなります(笑)。わずか100㏄、単気筒と2気筒の違いは、結構あるんだなという感じです。
アイドリングは、バタバタバタという排気音を立てながら、割と静かな印象。
発進加速でアクセルを開けると、4200回転くらいを維持しながら加速し、時速60kmを超えたあたりからエンジン回転数は上がります。
おそらく、国内での加速時騒音規制対策のため?だと思います。
それに、時速30kmくらいまで半クラのままで、クラッチが完全に直結するまでが長いので、加速は遅いというか、穏やかです。
また、SR400とグランドマジェスティは、ビッグシングル同士なので、フィーリングがとても似ています。
時速30kmくらいからの加速は、ビッグシングルエンジン特有の、低回転(3000回転くらい)のトルクで、ドコドコドコ…と引っ張るような加速をします。
アイドリングは、400㏄のビッグシングルエンジンだけに、振動は大きいです。
ただし、60kmまでは心地よいパルス感のある振動になり、70kmを超えたあたりから、振動は消えて本当に静かになります。
あまりに静かなので、エンジン回ってるの?と疑いたくなるほどです。
グランドマジェスティが、大人のスポーツセダンと言われるのは、こういうところなのでしょうね。
エンジンブレーキは、弱い傾向にあります。
250㏄スクーター(フォルツァ)との比較ですが、
低回転域でのトルク感と、時速60km以上からのスピードの伸びは、明らかに400の方が上です。
また、グランドマジェスティ400の方がアクセルレスポンスがよく、アクセルを回すとすぐにエンジンが応えます。
ただし、これはヤマハ車とホンダ車の味付けの違いかもしれないので、一概には言えないかもしれません。
●コーナリングについて
ステップが前後に広く、コーナリング時はバックステップ側に足を置いた方がコントロールしやすいし、
くるぶしで車体をホールドすることにより、ニーグリップと同様の効果があって、コントロールがとてもしやすいステップボードです。
まだタイヤが新しいためなのかもしれないですが、軽くバンクしやすいし、バンク角は意外と深めです。
余程バンクさせない限り、センスタを擦ることはなさそうです。
フロントが軽くてエンジンパワーが低いのもあり、コーナリング時は若干頼りなさはありますが、
前傾姿勢で乗った方が、フロントは落ち着き、コーナーでのコントロールがしやすく、安心感はあります。
●ブレーキについて
フロント、リア共にとてもよく効きます。
ただし、タッチが硬いです。握り込んで制動力をコントロールしにくい印象です。
パッドに当たりが付けばよくなるかも?
コントローラブルな赤パッドに変えたいところです。
●スクリーンの防風効果について
純正スクリーンは、大変防風効果は高いです。60kmまでなら、ヘルメットのバイザーを上げたまま走れるくらいです。
スクリーンの高さが視界に入って運転しづらいという意見もありますが、特に気になることはありませんでした。
風切り音は、サーサーと柔らかく風が当たる感じです。
これは、フロントスクリーン下部に開いている走行風導入穴のおかげで、意外と静かです。
冬場は少し寒いのかもしれません(笑)。冬場は、穴を塞ごうかな。
●トランク、収納スペースについて
フロント、タンデムシート下の2か所に分かれたメイントランク。
容量は60リットルと公表されていますが、そんなにあるかな?と言った感じです。
また、形状的にちょっと使いづらいかもしれません。
フロントシート側は丸い形状のため、バレーボールやスイカとか(笑)しか入らず、ヘルメット専用の置き場といった感じ。
タンデムシート下の開口部は非常に大きく、ヘルメットを入れてもまだ余裕があるように見えますが、実際はそうでもないです。
この比較画像を見ると、トランクの形状が分かると思います。
上段の画像を見ると、開口部は広くてそのまま後方に向かって広大なスペースを想像しますが、
下段の画像のように、タンデムシートクッションを取り外すと、収納スペースは後方に向かって絞り込まれて狭くなっていることが良く分かります。
使い勝手は良くないですが、入れ方を工夫すれば容量は十分にあります。
2室構造のトランクの中央部分に盛り上がった土手の部分は、フロントシートのロックがあるので、大きな物を置くことはできません。
しかし、トランクを閉めてもわずかな空間はあるようで、スマホを土手に置いてもきちんとトランクは閉まりました。
では、どれくらいのクリアランスがあるのでしょうか?
トランクを閉めた状態で、土手の部分がどのくらいの高さ(空間)があるか?写真を撮ってみました。
このように、5センチくらいの空間があるようです。
傘のような長尺物も一応収納することができて、きちんとトランクを閉めることが出来ます。(このような積載状態は、おすすめしませんが…)2019.8.17追記
トランク内には小さな照明があり、夜間での荷物の出し入れに便利。
画像では結構明るく写っていますが、実際はもう少し暗めです。それでも、必要十分な明るさだと思います。
ハンドル下にある収納ボックス。
左は鍵がかけられます。ETC車載器やツーリングネットなど、セキュリティ的なものや、たまにしか使わない小物を入れています。
右は、鍵は付いていない小さなボックスがあります。大型スマートフォンがすっぽり入る奥行きがあります。通行券や通行料を一時的に収納するスペースとして活用できそうです。
●燃費について
燃費は、およそ27km/lでした。高速道、街乗り、峠、バイパス路等を組み合わせての数値です。
270km走行時点で燃料計は点滅(残量約2.8リットル)し始めて、305km時点で約11リットルの給油をしました。計算上は、27.7km/lです。
他ブログを参照すると、長距離を走行される方の燃費も平均27km前後だったので、グランドマジェスティ400の燃費は、だいたい27km/l前後で間違いなさそうです。
ただし、信号が多く、アクセル全開でストップ&ゴーを繰り返す状況であれば、まだ下がる可能性はあります。
以上、インプレッションでした。ご参考にどうぞ。